「賃金決定のIT化」の現実
「人事」や「賃金決定」は、企業によってその基本的な考えが異なる
「らくちん社長-賃金決定」に限らず、人事関係のソフトは一般に、「給与計算ソフト」のように、「導入したのち直ぐにその日の内に運用が可能になる」という種類のソフトとは、多少その趣旨が異なります。
「給与支払」業務は、「企業ごとにその処理が全く違う」ということは珍しく、普通は「概ね同じ」です。給与項目にこそ違いはあっても、超過勤務手当ての計算手順や各種社会保険の計算、税額計算などは、国で定められておりますので、基本は同じです。
「実力主義」の現実
極端な例で比較をしますと、伝統的で保守的な日本の企業と、先鋭的な米国系外資企業とでは、同じ「実力主義」といっても、その待遇の差である社員間の「賃金格差」に、ひどく違いがある場合があります。
「実力主義」をことさら標榜しているある日本の保守的企業の賃金格差が、同年同期の最優秀社員と最低社員の間で、月給で僅かに50円、年俸でもたったの5万円くらいの差しかない、という例がある一方、特には「実力主義」を標榜していないにも拘わらず、同じ基準で、年俸が4倍も違うという米国系外資企業が存在することは珍しくありません。
実態は、「実力主義」でない場合もあります
つまり、「実力主義」の実態を把握するのに、社長が主張する「うちは実力主義だ!」という「言葉」を聞くだけでは、その内容をすぐには理解できません。現実には、その企業の賃金システムを、統計的に各種係数を冷静に計測するなどして正確に把握しないと、本当の意味を理解できないからです。
冷徹に分析しますと、社長が主張する「実力主義」という言葉とは裏腹に、その実態は、殆ど完全に「年功序列」である場合も散見されます。
人事には、「ホンネと建前の差」がつきもの
上記のように冷徹に分析すると、とても社長が標榜する程には「実力主義」でない場合があります。
この点を社長と、よくよく議論して結果分かったことは、実は、社長のホンネは、
「昨今、『実力主義だ』と言わないと、若者を雇えないからそう言う。だからと言って、あんまり本気でやると中堅社員が嫌がるので、基本はあくまで年功序列で、ほんのチョットだけ、つまり年俸で5万円くらいの差をつけるだけにしておく。これが当社の実力主義だ。ただ最近は、さすがに中高年の賃金が高すぎるので、『その部分の賃金上昇は極力押さえたい』というのがホンネだ。」
という場合があります。
人事方針には、このように「ホンネと建前の差が非常に乖離している」と表現するべきか、あるいは「実力主義の意味に大きな違いがある」と表現すべきか、いずれにしろ「言葉」と「実態」が大きく違う場合が珍しくありません。「実力主義」という名の下に、「中高年の賃下げをする」ということがホンネの場合もあります。無論、このようなホンネが、経営上に「間違いである」とは必ずしも言えません。
「実力主義」でも「年功序列」でもかまいません
「実力主義」と「年功序列」のどちらが正しいか、ということの形容詞による議論は、「システム化」という前提ではあまり意味をなしません。
業界や職種、企業の個性により違いがあって当然です。スポーツ選手の世界では完全な実力主義でしょうが、一律の団体活動をする職種では、あまり賃金格差をつけると組織の和が保てない場合もあるからです。
ただし、いずれの場合でも、社長のホンネとしての、人事方針がハッキリしていませんと、「システム化」を前提とした場合は、収拾がつきません。コンピュータ・システムに対して、人間的なリップサービスや曖昧な指令はできないからです。
人事方針を分析した結果の係数化が必要
「らくちん社長-賃金決定」は、汎用的に設計されております。
つまり「社長の『想い』をシステムに反映させることができる」ということです。
日本の中小・中堅企業に適用する場合なら、賃金テーブルや評価係数などの係数値を調整することで、大抵の賃金決定方式に適合できるようになっております。
例えば、学歴年齢別の賃金カーブの昇給角度や、基本給に対する能力給の比率を係数で調整することは実に容易です。
これをうまく実行するには、その会社の人事方針(賃金決定方針)を明確にすることが大事です。明確にすることで、各種係数値をどのように設定してよいかが、容易に判定できることになるからです。
「人事ITコンサル」
お客さま(社長ご自身)がご多忙の折、より効率的・効果的な適合作業を行うには、この「賃金決定IT化コンサル」を、是非ご利用になることをお薦め致します。必ずお役に立つと思います。